スポンサードリンク
第九段一書(二)―1天津甕星(アマツミカホシ)征伐とオオアナムチの説得
TWEET Facebook はてブ Google+ Pocket原文
一書曰、天神、遣經津主神・武甕槌神、使平定葦原中国。時二神曰「天有惡神、名曰天津甕星、亦名天香香背男。請先誅此神、然後下撥葦原中国。」是時、齋主神、號齋之大人、此神今在于東国檝取之地也。既而二神、降到出雲五十田狹之小汀而問大己貴神曰「汝、將以此国、奉天神耶以不。」對曰「疑、汝二神、非是吾處來者。故不須許也。」於是、經津主神、則還昇報告、時高皇産靈尊、乃還遣二神、勅大己貴神曰「今者聞汝所言深有其理、故更條而勅之。夫汝所治顯露之事、宜是吾孫治之。汝則可以治神事。又汝應住天日隅宮者、今當供造、卽以千尋●(木偏に孝の子が丁、「栲」の誤字と思われる)繩結爲百八十紐、其造宮之制者、柱則高大、板則廣厚。又將田供佃。又爲汝往來遊海之具、高橋・浮橋及天鳥船、亦將供造。又於天安河、亦造打橋。又供造百八十縫之白楯。又當主汝祭祀者、天穗日命是也。」
スポンサードリンク
現代語訳
第九段一書(二)―1
ある書によると…
天神(アマツカミ)は經津主神(フツヌシノカミ)と武甕槌神(タケミカヅチノカミ)を派遣して葦原中国(アシハラナカツクニ)を平定させようとしました。
この時、二柱の神(=フツヌシとタケミカヅチ)は言いました。
「天に悪い神が居る。
その名前を天津甕星(アマツミカホシ)。またの名を天香香背男(アマノカカセオ=金星)という。まずこの神を倒してから、天から降りて葦原中国(アシハラナカツクニ)の神を一掃しよう」
この戦いのときの門出を祝う齋主(イワイ)の神を齋之大人(イワイノウシ)といいました。
この神(=フツヌシ)は現在、東国(アズマノクニ)の檝取(カトリ)の地に在ります。
二柱の神は地上に降りて、出雲の五十田狹(イサダ)の小汀(オハマ)に辿り着いて、大己貴神(オオアナムチ=オオクニヌシ)に問いました。
「お前は、この国を天神(アマツカミ)に譲るか? どうか???」
大己貴神(オオアナムチ)は答えました。
「どうゆうことだ??
お前たち、二柱の神が、私の所に来たのではないか??
(国を譲るなど)許さない」
これを聞いて經津主神(フツヌシノカミ)はすぐに天に昇って帰って報告しました。
報告を聞いた高皇産靈尊(タカミムスビノミコト)は二柱の神をまた地上に派遣して大己貴神(オオアナムチ)に伝えるよう命じました。
「今、あなた(=オオナムチ=オオクニヌシ)が言ったことは、なるほど道理が通っている。そこで、一つ一つ細かく説明いたしましょう。
あなたが納めているこの現世のモノはすべて私(=タカミムスビ)の孫(=ニニギ)が治めるべきです。
あなたは神事(カムコト)を治めてください。
あなたが住むべき天日隅宮(アマノミスミノミヤ)は今から造りましょう。
千尋(チヒロ=尋は長さの単位。「千尋」でとても長い)もある栲縄(タクナワ)を180箇所も結んで組み立て、宮を作るにあたり、柱は高く大きく、板は広く厚くしましょう。また、田も作りましょう。
あなたが海に遊びに行くために、高い橋(=長い階段のこととも)や浮橋(ウキハシ)や天鳥船(アマノトリフネ)もまた造りましょう。天安河(アマノヤスカワ)に打橋(ウチハシ)を作りましょう。
また、百八十縫(モモアマリヤソヌイ)の白盾(シラタテ)も作ろう。
またあなたが祭祀を司るのは天穗日命(アメノホヒノミコト)です」
ある書によると…
天神(アマツカミ)は經津主神(フツヌシノカミ)と武甕槌神(タケミカヅチノカミ)を派遣して葦原中国(アシハラナカツクニ)を平定させようとしました。
この時、二柱の神(=フツヌシとタケミカヅチ)は言いました。
「天に悪い神が居る。
その名前を天津甕星(アマツミカホシ)。またの名を天香香背男(アマノカカセオ=金星)という。まずこの神を倒してから、天から降りて葦原中国(アシハラナカツクニ)の神を一掃しよう」
この戦いのときの門出を祝う齋主(イワイ)の神を齋之大人(イワイノウシ)といいました。
注:戦争の前に神に祈り、戦勝を祈願します。その役割が「イワイノウシ」です。ここではフツヌシのことを指しています。
この神(=フツヌシ)は現在、東国(アズマノクニ)の檝取(カトリ)の地に在ります。
二柱の神は地上に降りて、出雲の五十田狹(イサダ)の小汀(オハマ)に辿り着いて、大己貴神(オオアナムチ=オオクニヌシ)に問いました。
「お前は、この国を天神(アマツカミ)に譲るか? どうか???」
大己貴神(オオアナムチ)は答えました。
「どうゆうことだ??
お前たち、二柱の神が、私の所に来たのではないか??
(国を譲るなど)許さない」
これを聞いて經津主神(フツヌシノカミ)はすぐに天に昇って帰って報告しました。
報告を聞いた高皇産靈尊(タカミムスビノミコト)は二柱の神をまた地上に派遣して大己貴神(オオアナムチ)に伝えるよう命じました。
「今、あなた(=オオナムチ=オオクニヌシ)が言ったことは、なるほど道理が通っている。そこで、一つ一つ細かく説明いたしましょう。
あなたが納めているこの現世のモノはすべて私(=タカミムスビ)の孫(=ニニギ)が治めるべきです。
あなたは神事(カムコト)を治めてください。
あなたが住むべき天日隅宮(アマノミスミノミヤ)は今から造りましょう。
千尋(チヒロ=尋は長さの単位。「千尋」でとても長い)もある栲縄(タクナワ)を180箇所も結んで組み立て、宮を作るにあたり、柱は高く大きく、板は広く厚くしましょう。また、田も作りましょう。
あなたが海に遊びに行くために、高い橋(=長い階段のこととも)や浮橋(ウキハシ)や天鳥船(アマノトリフネ)もまた造りましょう。天安河(アマノヤスカワ)に打橋(ウチハシ)を作りましょう。
また、百八十縫(モモアマリヤソヌイ)の白盾(シラタテ)も作ろう。
またあなたが祭祀を司るのは天穗日命(アメノホヒノミコト)です」
スポンサードリンク
解説
惑星は悪い星
「星」はその場所を動く事がありません。地球の自転によって動くのですが、そのほかの星との位置関係自体は変わりません。
ところが惑星は違います。見るたびに違う位置に星が動いています。古代では星の位置から方角や位置を推測していましたから(参考:宗像三女神)、惑星が混じると方角や自分の位置が分からない。方角や位置が分からなくなるのは船にとって致命的です。
だから惑星は天の悪い神だった、のでしょう。
オオアナムチ、強し!
タカミムスビが必死になって説得。この書を見る限り、オオアナムチ(オオクニヌシ)は非常に強い神だったよう。多くの人に信仰されたのでしょう。
でも、だからといって、オオアナムチ>タカミムスビとは限らない。
日本人は「争い」を「ケガレ」と考えていて、出来るだけ話し合いで決定しようとしています。天安河で様々な対策を考える時も「合議制」でした。そんな神話ありますか?
だからタカミムスビが弱い、オオアナムチが強いということではなく、単に古代の日本人の価値観が武力よりも話し合いだった、のかもしれません。
戦いを避けること
タカミムスビやアマテラスは国譲りを「力づく」で行ったと思われがちですが、「力づく」を行ったのは「フツヌシとタケミカヅチ」であって、カミムスビやアマテラスでは無いです。言い方を変えると、汚い仕事はフツヌシとタケミカヅチに押し付けたということです。
「星」はその場所を動く事がありません。地球の自転によって動くのですが、そのほかの星との位置関係自体は変わりません。
ところが惑星は違います。見るたびに違う位置に星が動いています。古代では星の位置から方角や位置を推測していましたから(参考:宗像三女神)、惑星が混じると方角や自分の位置が分からない。方角や位置が分からなくなるのは船にとって致命的です。
だから惑星は天の悪い神だった、のでしょう。
オオアナムチ、強し!
タカミムスビが必死になって説得。この書を見る限り、オオアナムチ(オオクニヌシ)は非常に強い神だったよう。多くの人に信仰されたのでしょう。
でも、だからといって、オオアナムチ>タカミムスビとは限らない。
日本人は「争い」を「ケガレ」と考えていて、出来るだけ話し合いで決定しようとしています。天安河で様々な対策を考える時も「合議制」でした。そんな神話ありますか?
だからタカミムスビが弱い、オオアナムチが強いということではなく、単に古代の日本人の価値観が武力よりも話し合いだった、のかもしれません。
戦いを避けること
タカミムスビやアマテラスは国譲りを「力づく」で行ったと思われがちですが、「力づく」を行ったのは「フツヌシとタケミカヅチ」であって、カミムスビやアマテラスでは無いです。言い方を変えると、汚い仕事はフツヌシとタケミカヅチに押し付けたということです。
個人的コラム
イワイノウシ
ノウシがオオクニヌシなどの「ヌシ」になったのではないか????みたいな。
ノウシがオオクニヌシなどの「ヌシ」になったのではないか????みたいな。
スポンサードリンク
SNSボタン
TWEET Facebook はてブ Google+ Pocketページ一覧
日本書紀神代下の表紙へ
- Page11 第九段一書(一)―2妻子「生きてらっしゃった!!」
- Page12 第九段一書(一)―3 石川片淵
- Page13 第九段一書(一)―4天津日嗣は天地の在る限り永遠です
- Page14 第九段一書(一)―5男も女も猨女君と呼ぶ理由
- Page15 第九段一書(二)―1天津甕星(アマツミカホシ)征伐とオオアナムチの説得
- Page16 第九段一書(二)−2現世から退いて幽界の世界を
- Page17 第九段一書(二)—3大物主神を祀った始まり
- Page18 第九段一書(二)—4齋庭の穂を、我が子オシホミミに
- Page19 第九段一書(二)—5磐長姫の呪い
スポンサードリンク