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第九段一書(一)―2妻子「生きてらっしゃった!!」
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時、天稚彦之妻子、從天降來、將柩上去而於天作喪屋、殯哭之。先是、天稚彦與味耜高彦根神友善。故味耜高彦根神、登天弔喪大臨焉。時此神形貎、自與天稚彦恰然相似、故天稚彦妻子等見而喜之曰「吾君猶在。」則攀持衣帶、不可排離、時味耜高彦根神忿曰「朋友喪亡、故吾卽來弔。如何誤死人於我耶。」乃拔十握劒、斫倒喪屋。其屋墮而成山、此則美濃国喪山是也。世人惡以死者誤己、此其緣也。
現代語訳
第九段一書(一)―2
天稚彦(アメノワカヒコ)の妻と子は天から降りて来て、柩(ヒツギ)を持って、また天上に帰り、天に喪屋(モヤ=葬儀の小屋)を立てて、声をあげて泣きました。
天稚彦(アメノワカヒコ)と味耜高彦根神(アジスキタカヒコネノカミ)はとても仲良くしていました。
なので味耜高彦根神(アジスキタカヒコネノカミ)は天に昇って、葬儀に参加して、激しく泣きました。
この味耜高彦根神(アジスキタカヒコネノカミ)の姿形が天稚彦(アメノワカヒコ)ととてもよく似ていました。
すると天稚彦(アメノワカヒコ)の妻子たちは、味耜高彦根神(アジスキタカヒコネノカミ)を見て喜んで言いました。
「生きてらっしゃった!!」
そして妻子は味耜高彦根神(アジスキタカヒコネノカミ)の衣服にすがりついて離れませんでした。
すると味耜高彦根神(アジスキタカヒコネノカミ)は怒って言いました。
「友達が亡くなったから、ここに来て弔ったというのに、どうして私を死人と間違えるのか!」
すぐに十握劒(トツカノツルギ)を抜いて喪屋(モヤ=葬儀の小屋)を斬り倒しました。その喪屋が天から落ちて山と成りました。それが美濃国(ミノノクニ)の喪山(モヤマ)です。
世間で死者を自分と間違えるのを嫌うのはこのためです。
天稚彦(アメノワカヒコ)の妻と子は天から降りて来て、柩(ヒツギ)を持って、また天上に帰り、天に喪屋(モヤ=葬儀の小屋)を立てて、声をあげて泣きました。
天稚彦(アメノワカヒコ)と味耜高彦根神(アジスキタカヒコネノカミ)はとても仲良くしていました。
なので味耜高彦根神(アジスキタカヒコネノカミ)は天に昇って、葬儀に参加して、激しく泣きました。
この味耜高彦根神(アジスキタカヒコネノカミ)の姿形が天稚彦(アメノワカヒコ)ととてもよく似ていました。
すると天稚彦(アメノワカヒコ)の妻子たちは、味耜高彦根神(アジスキタカヒコネノカミ)を見て喜んで言いました。
「生きてらっしゃった!!」
そして妻子は味耜高彦根神(アジスキタカヒコネノカミ)の衣服にすがりついて離れませんでした。
すると味耜高彦根神(アジスキタカヒコネノカミ)は怒って言いました。
「友達が亡くなったから、ここに来て弔ったというのに、どうして私を死人と間違えるのか!」
すぐに十握劒(トツカノツルギ)を抜いて喪屋(モヤ=葬儀の小屋)を斬り倒しました。その喪屋が天から落ちて山と成りました。それが美濃国(ミノノクニ)の喪山(モヤマ)です。
世間で死者を自分と間違えるのを嫌うのはこのためです。
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解説
シタテルヒメは出ず
日本書紀の9段本文ではオオクニヌシの娘の下照姫(シタテルヒメ)を妻に貰い、葦原中国に居付いてしまいます。それで殺されて、葬儀をしたのは下照姫(シタテルヒメ)と天稚彦(アメノワカヒコ)の父親の天国玉(アマツクニタマ)でした。
ところがここでは、下照姫(シタテルヒメ)は出ず、天稚彦(アメノワカヒコ)の柩を天へと持っていくのは「天上界の妻子」です。下照姫(シタテルヒメ)や国津神の娘ではありません。
日本書紀の9段本文ではオオクニヌシの娘の下照姫(シタテルヒメ)を妻に貰い、葦原中国に居付いてしまいます。それで殺されて、葬儀をしたのは下照姫(シタテルヒメ)と天稚彦(アメノワカヒコ)の父親の天国玉(アマツクニタマ)でした。
ところがここでは、下照姫(シタテルヒメ)は出ず、天稚彦(アメノワカヒコ)の柩を天へと持っていくのは「天上界の妻子」です。下照姫(シタテルヒメ)や国津神の娘ではありません。
個人的コラム
アメノワカヒコがオオクニヌシの娘を貰ったというのは、神話の融合、物語の整合性を高めるために、徐々に変化していった「設定」なんでしょう。
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