料理人の不意打ち

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料理人の不意打ち

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原文

故ここに天つ神の御子の命以ちて、饗を八十建に賜ひき。ここに八十建に宛てて、八十膳夫を設け、人毎に刀佩けて、その膳夫等に誨へて、「歌を聞かば、一時共に斬れ」と曰りたまひき。

現代語訳

ここ(忍坂)にやってきた天津神の皇子であるイワレビコの命令で、ご馳走が八十健(ヤソタケル)に振舞われました。

男たちにそれぞれ、八十膳夫(ヤソカシワデ=料理人)をあてがって、その膳夫(=料理人)に刀を持たせました。

そして、その膳夫(=料理人)に
「歌を聴いたら、一斉に切りかかれ」
と言いました。
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解説

汚い、汚いぞ天津神の皇子!
日本神話の面白さのなかに、主人公であるはずの天皇家の血筋の神々が「意外と汚い」というか謀略家で、不意打ち、だまし討ちが常套というところがあります。

今回は、ツチグモヤソタケルに料理人をあてがい、その料理人に刀を持たせ、歌を歌ったら切りかかるというもの。歓待しておいて、不意打ち。主人公にしては共感ししづらいキャラクターです。

ところで料理人は刀を持って、切り殺していますが、古代において「料理」は、食物を作るというだけではなかったようで、料理とは神にささげる供物を作る作業でもあります。
参考:?料理人クシヤタマ神

特にこの戦いで重要な役割を占める「久米氏」は、この後に出てくる「戦いの歌」を見れば分かるように、軍事を司る氏族です。この久米氏がどうやら、宮廷の「料理人」を兼ねていたようです。久米氏の歌には食材が見られるのはその理由もあるようです。

個人的コラム

イザナミが死んだので夫のイザナギイザナミ恋しさに黄泉の国に迎えに行った際に、「黄泉の国で飯を食べたので、現世には帰れない」とイザナミに拒絶されます。古代では「共食する」ってことは「仲間」の証で、共食すると簡単には集団から抜けられない拘束力があるわけです。

となると、神武天皇ヤソタケルが食事をした時点で、ヤソタケルは神武天皇と大和朝廷にすでに恭順しているってことになる。

私は宴会した時点でヤソタケルは朝廷に参加したことになっていて、「斬り殺す」というのは、恭順したことの比喩的な表現なんじゃないか?くらいに思っています。
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