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第九段本文―3 鳥の葬儀
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天稚彦之妻下照姫、哭泣悲哀、聲達于天。是時、天国玉、聞其哭聲則知夫天稚彦已死、乃遣疾風、舉尸致天、便造喪屋而殯之。卽以川鴈、爲持傾頭者及持帚者(一云、以鶏爲持傾頭者、以川鴈爲持帚者)、又以雀爲舂女。(一云「乃以川鴈爲持傾頭者、亦爲持帚者、以鴗爲尸者、以雀爲春者、以鷦鷯爲哭者、以鵄爲造綿者、以烏爲宍人者。凡以衆鳥任事。」)而八日八夜、啼哭悲歌。
現代語訳
第九段本文―3
天稚彦(アメノワカヒコ)の妻の下照姫(シタテルヒメ)が泣き悲しむ声が天に届きました。このとき天国玉(アマツクニタマ=アメノワカヒコの親)がその泣く声を聞いて、天稚彦(アメノワカヒコ)が死んだことを知りました。
すぐに疾風(ハヤテ)を派遣して、遺体を引き揚げて天に運ばせました。そして喪屋(モヤ=仮の遺体安置所)を作り、殯(モガリ=埋葬するまでに行う葬式)を行いました。
川雁(=鳥の種類)を、持傾頭者(キサリモチ=?)とし、また持帚者(ハハキモチ=ホウキで穢れを祓う役)としました。
また、雀を舂女(ツキメ)としました。
八日八夜の間、嘆き悲しみ歌いました。
古事記の対応箇所
アメノワカヒコの葬式
天稚彦(アメノワカヒコ)の妻の下照姫(シタテルヒメ)が泣き悲しむ声が天に届きました。このとき天国玉(アマツクニタマ=アメノワカヒコの親)がその泣く声を聞いて、天稚彦(アメノワカヒコ)が死んだことを知りました。
すぐに疾風(ハヤテ)を派遣して、遺体を引き揚げて天に運ばせました。そして喪屋(モヤ=仮の遺体安置所)を作り、殯(モガリ=埋葬するまでに行う葬式)を行いました。
川雁(=鳥の種類)を、持傾頭者(キサリモチ=?)とし、また持帚者(ハハキモチ=ホウキで穢れを祓う役)としました。
一説には「鶏」を持傾頭者(キサリモチ)とし、川雁を持帚者(ハハキモチ)としたとされます。
また、雀を舂女(ツキメ)としました。
一説には川鴈(カワガリ)を持傾頭者(キサリモチ)として、持帚者(ハハキモチ)とし、鴗(ソビ)を尸者(モノマサ=使者に代わってあいさつをする)としました。雀を舂者(ツキメ)としました。鷦鷯(サザキ)を哭者(ナキメ)としました。鵄(トビ)を造綿者(ワタツクリ=死者の服を作る)としました。烏(カラス)を宍人者(シシヒト)としました。全ての鳥に仕事を分担させました。
八日八夜の間、嘆き悲しみ歌いました。
古事記の対応箇所
アメノワカヒコの葬式
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解説
持傾頭者
キサリモチは本居宣長によって「死者に提供する食べ物を運ぶ役」とされますが、どうしてこんな解釈になったのかは、ハッキリしません。また「死者に食べ物を運ぶ役」は宍人者と重なるので、別の役ではないかと思われます。
持帚者
ハハキモチは「ホウキ」を持つ神です。ホウキは塵取りとセットのあれです。ゴミを履いて捨てることが「ケガレ」を祓うことに繋がったみたいです。
舂女
ツキメは、まだハッキリとはしませんが、「舂」が臼とか臼で穀物をつくことを指すので、葬儀のときの食料をつく役割のことでしょう。それが死者へのものか、参加者のものかは分かりませんが、まぁ常識的に言って死者でしょう。
尸者
神が石や木に宿るときは、その石や木のことを依代(ヨリシロ)といいますが、神ではなく死者が人間に乗り移るときは尸者(モノマサ)と言います。
モノマサに死者を乗り移らせて、モノマサがあいさつをする?みたいです。なんかシュール。
哭者
ナキメは葬儀の際に大声で泣いて、葬儀をある意味で盛り上げる役割のこと。アジアには現在でも泣き女(ナキオンナ)の風習が残っている地域が多いです。
造綿者
ワタツクリは死者の衣服を造るか、綿で死者の体を拭く仕事とされます。両方かもしれません。
宍人者
シシヒトは死者の食べ物を運ぶ役とされます。
キサリモチは本居宣長によって「死者に提供する食べ物を運ぶ役」とされますが、どうしてこんな解釈になったのかは、ハッキリしません。また「死者に食べ物を運ぶ役」は宍人者と重なるので、別の役ではないかと思われます。
持帚者
ハハキモチは「ホウキ」を持つ神です。ホウキは塵取りとセットのあれです。ゴミを履いて捨てることが「ケガレ」を祓うことに繋がったみたいです。
舂女
ツキメは、まだハッキリとはしませんが、「舂」が臼とか臼で穀物をつくことを指すので、葬儀のときの食料をつく役割のことでしょう。それが死者へのものか、参加者のものかは分かりませんが、まぁ常識的に言って死者でしょう。
尸者
神が石や木に宿るときは、その石や木のことを依代(ヨリシロ)といいますが、神ではなく死者が人間に乗り移るときは尸者(モノマサ)と言います。
モノマサに死者を乗り移らせて、モノマサがあいさつをする?みたいです。なんかシュール。
哭者
ナキメは葬儀の際に大声で泣いて、葬儀をある意味で盛り上げる役割のこと。アジアには現在でも泣き女(ナキオンナ)の風習が残っている地域が多いです。
造綿者
ワタツクリは死者の衣服を造るか、綿で死者の体を拭く仕事とされます。両方かもしれません。
宍人者
シシヒトは死者の食べ物を運ぶ役とされます。
個人的コラム
アメノワカヒコの父のアマツクニタマは息子の死を知って、天上へと引き上げて葬儀を始めます。葬式はありとあらゆる鳥が葬式の役割を果たす。
これを「反逆者の葬式だから、神が葬儀を行えないから鳥がした」という受け取り方も出来るが、おそらく、「死者は鳥が連れていく」とか「死者は死んだら鳥になる」というヤマトタケルの死んだ場面と同じような「魂=鳥」という信仰があったからではないか?と思います。
チベットには鳥葬というのがあって、遺体を取りに食べさせることによって、死者を天に送るというものがあります。似た感覚ではなかったか?とも思うような思わないような。
これを「反逆者の葬式だから、神が葬儀を行えないから鳥がした」という受け取り方も出来るが、おそらく、「死者は鳥が連れていく」とか「死者は死んだら鳥になる」というヤマトタケルの死んだ場面と同じような「魂=鳥」という信仰があったからではないか?と思います。
チベットには鳥葬というのがあって、遺体を取りに食べさせることによって、死者を天に送るというものがあります。似た感覚ではなかったか?とも思うような思わないような。
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