飛びさるタカヒコネ

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原文

此は美濃国の藍見河の河上の喪山ぞ。其の持ちて切れる大刀の名は、大量と謂ひ、亦の名は神度劍と謂ふ。故、阿遅志貴高日子根神は、忿りて飛び去りし時、其の伊呂妹、高比売命、其の御名を顕さむと思ひき。故、歌ひけらく、

現代語訳

アジスキタカヒコネが喪屋を蹴っ飛ばした)
これが美濃国の藍見河の上流にある「喪山」です。
喪屋を壊したときに使った剣の名は「オオハカリ(大量)」といいます。別名は神度剣(カムドノツルギ)といいます。

阿遅志貴高日子根神(アジスキタカヒコネ)が飛び去ったとき、その伊呂妹(=同母妹)の高比売命(タカヒメ=下照比売の別名)がその名を明かそうと、歌を歌いました。
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解説

地名を表す説話。喪山は岐阜県美濃市といわれています。また喪山古墳が岐阜県垂井町にあります。どちらにしても、出雲から遠い。この物語が成立した時点では朝廷の影響範囲がそういう感じという意味なのか、アメノワカヒコを氏神とする氏族がこのあたりに居た、という意味なのか??

タカヒメの歌
タカヒメシタテルヒメですから、ついぞさっきまで、兄アジスキタカヒコネの手足にすがりついて「生き返った!」と喜んでいたはず。ここで急に冷静になって、「いま飛んでいったのが兄のアジスキタカヒコネです」と歌い始めます。歌の内容は次のページです。

へぇ、飛べるんだ
アジスキタカヒコネは山から飛び去っています。ウルトラマン張りに飛べるんですね。
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