日本人にとっての死後の世界…黄泉の国・常世国

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日本人にとっての死後の世界…黄泉の国・常世国

投稿日時:2017-07-10 18:23:59
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日本人にとっての死後の世界…黄泉の国・常世国

まとめ
●記紀に日本人の死後の世界として明確に描かれているのは「黄泉の国」。
黄泉の国は神話の中では「行き来できる世界」として描かれているが、イザナギ黄泉比良坂に石を置いたことで行き来はできなくなった。
●日本人にとって神とは霊であり、神の世界は死者の世界でもあるので、範囲を広げると「根の国(根堅州国)」「常世の国」「高天原」「海神宮殿」も死後の世界となる。
●もう一つ、日本人は「死後の世界はない」「魂はこの世界に漂う」という死生観もある。

記紀神話に描かれる「死後の世界」

古事記・日本書紀には死後の世界として「黄泉の国」が登場します。この黄泉の国はイザナミが死後に行った場所であり、愛する妻を忘れられないイザナギが迎えに行ったのですが、イザナミの体は腐り果てていました。
黄泉の国の特徴はいくつかありますが、
●神も死ぬと行く
●地下にある
イザナギが黄泉比良坂を岩で塞ぐまでは、黄泉と現世は簡単に行き来できた(だからイザナギは黄泉へ行けた)。
●イザナギの櫛を投げるとタケノコが生え、山葡萄のツルを投げるとヤマブドウが生えてきたことから、「肥料の多い」か「植物を繁殖させる力のある場所」という認識があった。

古事記・日本書紀によれば明確に「死者が闊歩する」死後の世界として描かれるのは黄泉の国だけ。ただし、日本人にとって神…人ならぬもの…とは死後の霊体のことでもありますから、神の国とは暗に「死後の世界」という意味がある。そこまで範囲を広げると、常世の国根の国高天原も「神の国であり、死後の世界」と言える。
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黄泉の国以外にもある死後の世界

ちなみに常世国は海の向こうの世界。根の国は黄泉の国に近い地下世界。ただし大祓の祝詞によれば常世の国に近い海の向こうの世界か、海の底の世界。高天原は諸説あるものの(特定地域を指しているという説もある)一般的には天上界です。

また常世の国が海の向こうにあり、それが沖縄のニライカナイの世界観を踏襲していることを考えると、海神の宮殿も「神の国であり、死後の世界」と言える。

となると、日本人にとっての神の国・死後の世界はやたらと多いことになる。これは日本の神話が「複数の世界観を統合してできたから」でしょう。面白いのは複数の世界観が統合して、最終的に1つに絞られるのではなくて、ある程度は淘汰はされたのでしょうが、神話の中に神の国・死後の世界が複数個並存していること。共通しているのは、人間が生活する世界から少し離れている場所にあるってことですね。異世界ではあるが、行けないところではないって感じ。
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「死後」のあり方のもう一つの答え…草葉の陰

それだけではないです。

ヤマトタケルは死後に白鳥になり、どこかに飛んで行きました。飛来地はいくつか挙げられていますが、最終的に落ち着いた場所というのは書かれておらず、白鳥を追いかけて追いかけて見失っていること、遺体が喪失してしまっていることから、「魂はどこかに消えた」という結末です。つまり明確に「死後の世界」を示さないという別の世界観もあったのではないかと思います。

このヤマトタケルが示す死後の世界が現在私たちがいうところの「草葉の陰」の原型なんじゃないかな?と。
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