古語拾遺19 即位大嘗祭

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古語拾遺19 即位大嘗祭

投稿日時:2019-05-08 15:06:55
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原文

日臣命 帥來目部 衛護宮門 掌其開闔 饒速日命 帥内物部 造備矛盾 其物既備 天富命 率諸齋部 捧持天璽鏡釼 奉安正殿 并懸瓊玉 陳其幣物 殿祭祝詞 【其祝詞文在於別卷】 次 祭宮門 【其祝詞 亦在於別卷】 然後 物部乃立矛盾 大伴來目建仗 開門令朝四方之国 以觀天位之貴

現代語訳

日臣命(ヒノオミノミコト=大伴氏の先祖の神)は来目部(クメベ)を率いて、宮門(ミカド)を護衛し、その開闔(アケタテ=門の開閉=文書の管理者)を司っていました。饒速日命(ニギハヤヒミコト)は内物部(ウチモノノベ=宮廷内の物部氏)を率いて、矛・盾を作って備えました。その物(=矛・盾を含む祭祀用の道具)を準備して、天富命(アメノトミノミコト=斎部氏の祖先の太玉命の孫)はもろもろの斎部を率いて、天璽(アマツシルシ)の鏡と剣を捧げ持ち、正殿(ミアラカ)に安置し奉り、また、瓊玉(タマ)を掛け、幣物(ミテグラ)を陳列して、殿祭(オオトノホカイ=宮殿の安泰を願うこと)の祝詞をしました。
その祝詞の文は別巻にあります。

次に宮門(ミカド)を祭ります。
その祝詞もまた、別巻にあります。

しかる後に物部は矛・盾を立てます。大伴・来目は仗(ツワモノ=武器)を建て、門を開いて、四方の国を参らせて、天位(アマツヒツギ=天皇の位)の尊きことを見せました。
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解説

古語拾遺は忌部氏が自分の正当性を主張する本とされますが、天皇に献上された本である以上、書いてあることは当時の実情と乖離しているとは考えにくい。特に、こういった「儀式」に関することは。

ここでの盾・矛・仗は武器ではなくて、「儀式の道具」。その儀式の道具を用意したのが饒速日(ニギハヤヒ=物部氏の先祖)であり、儀式を取り仕切ったのは忌部氏の先祖である「天富命(アメノトミノミコト)」。儀式には忌部氏が欠かせないということになる。

ここでの物語は神武天皇が東征し、大和で即位した後のことで、当時から忌部氏が宮中に関わっていたことを忌部氏は主張したいわけです。

面白いのは、天皇の位を引き継ぐアイテムはあくまで「鏡と剣」の「2種の神宝」であり「三種の神器」ではないってとこ。古語拾遺の成立した806年だから807年の時点では「三種の神器」という概念はなく、鏡と剣だったらしい。
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