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第八段本文-2酒造り・オロチ・草薙の剣
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故、素戔鳴尊、立化奇稻田姫、爲湯津爪櫛、而插於御髻。乃使脚摩乳・手摩乳釀八醞酒、幷作假庪(假庪、此云佐受枳)八間、各置一口槽而盛酒以待之也。至期果有大蛇、頭尾各有八岐、眼如赤酸醤(赤酸醤、此云阿箇箇鵝知)、松柏生於背上而蔓延於八丘八谷之間。及至得酒、頭各一槽飲、醉而睡。時、素戔鳴尊、乃拔所帶十握劒、寸斬其蛇。至尾劒刃少缺、故割裂其尾視之、中有一劒、此所謂草薙劒也。
草薙劒、此云倶娑那伎能都留伎。一書曰「本名天叢雲劒。蓋大蛇所居之上、常有雲氣、故以名歟。至日本武皇子、改名曰草薙劒。」素戔鳴尊曰「是神劒也、吾何敢私以安乎。」乃上獻於天神也。
草薙劒、此云倶娑那伎能都留伎。一書曰「本名天叢雲劒。蓋大蛇所居之上、常有雲氣、故以名歟。至日本武皇子、改名曰草薙劒。」素戔鳴尊曰「是神劒也、吾何敢私以安乎。」乃上獻於天神也。
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現代語訳
第八段本文-2
スサノオは奇稻田姫(クシイナダヒメ)を湯津爪櫛(ユツツマグシ)という櫛に変えて、自分の髪に挿しました。
それから脚摩乳(アシナヅチ)と手摩乳(テナヅチ)に何度も醸造したアルコールの濃い酒を作らせ、
八つの一段高い舞台を作らせ(=桟敷)、
そのそれぞれの桟敷にお酒の桶を置いて、酒を注いで待っていました。
時間になると大蛇(オロチ)がやって来ました。
頭と尾は八本に別れています。
目は赤く熟れたホウズキのようです。
松やヒノキが背中に生え、
胴体は八つの丘と八つの谷くらいありました。
オロチが酒を置いた桟敷のところにやってくると、頭はそれぞれの酒桶を飲み、酔っ払って眠ってしまいました。
そのとき、スサノオは腰に挿している十拳釼(トツカノツルギ)を抜いて、八本の尾をズタズタに斬り裂きました。
ある尾を切っていると剣の歯が少し欠けてしまいました。それでその尾を割って裂いてみると、中に一本の剣がありました。
これが草薙剣(クサナギノツルギ)です。
スサノオは言いました。
「これは神の剣だ。
自分のものにするわけにはいかない」
そうして天津神に剣を献上しました。
古事記の対応箇所
ヤマタノオロチについて
ヤマタノオロチの姿形について
老夫婦に名乗る
大蛇退治の妙案
酒を飲んで寝る大蛇
刀が欠けてしまう
クサナギの剣があらわれる
スサノオは奇稻田姫(クシイナダヒメ)を湯津爪櫛(ユツツマグシ)という櫛に変えて、自分の髪に挿しました。
それから脚摩乳(アシナヅチ)と手摩乳(テナヅチ)に何度も醸造したアルコールの濃い酒を作らせ、
八つの一段高い舞台を作らせ(=桟敷)、
そのそれぞれの桟敷にお酒の桶を置いて、酒を注いで待っていました。
時間になると大蛇(オロチ)がやって来ました。
頭と尾は八本に別れています。
目は赤く熟れたホウズキのようです。
松やヒノキが背中に生え、
胴体は八つの丘と八つの谷くらいありました。
オロチが酒を置いた桟敷のところにやってくると、頭はそれぞれの酒桶を飲み、酔っ払って眠ってしまいました。
そのとき、スサノオは腰に挿している十拳釼(トツカノツルギ)を抜いて、八本の尾をズタズタに斬り裂きました。
ある尾を切っていると剣の歯が少し欠けてしまいました。それでその尾を割って裂いてみると、中に一本の剣がありました。
これが草薙剣(クサナギノツルギ)です。
草薙剣…これを倶娑那伎能都留伎(クサナギノツルギ)といます。
ある書によると、本当の名前は天叢雲劒(アメノムラクモノツルギ)といいます。
思うに、大蛇の居るところの上には常に雲があります。そのために名付けられたのではないでしょうか。
日本武皇子の時代に名前を草薙剣と呼ばれるようになりました。
ある書によると、本当の名前は天叢雲劒(アメノムラクモノツルギ)といいます。
思うに、大蛇の居るところの上には常に雲があります。そのために名付けられたのではないでしょうか。
日本武皇子の時代に名前を草薙剣と呼ばれるようになりました。
スサノオは言いました。
「これは神の剣だ。
自分のものにするわけにはいかない」
そうして天津神に剣を献上しました。
古事記の対応箇所
ヤマタノオロチについて
ヤマタノオロチの姿形について
老夫婦に名乗る
大蛇退治の妙案
酒を飲んで寝る大蛇
刀が欠けてしまう
クサナギの剣があらわれる
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解説
櫛を髪に
スサノオはクシイナダヒメを櫛に変え、自分の髪に挿します。当時の男性はオシャレだった! とよく言われますが、個人的には「呪具」の意味が強かったのではないかと思います。
酒には神聖な力がある
酒を何度も醸造して、より強いお酒を作り、それをオロチにささげます。これはまず、「酒」がオロチという天変地異を鎮めるほどの力のある「飲料」ですよ、という意味があり、また酒を作ることは天変地異を鎮めるために必要な「神聖な仕事」ですよ、という意味を持ちます。
実際、酒造りは神社の仕事でした。
もうひとつ、生贄として捧げていたクシイナダヒメの代わりに酒を捧げたということは、かつては「人間」を儀式の中で捧げていたものを、「酒」で代用したという意味もあるのでしょう。
人間、特に女性は子供を生むことのできる「特殊な力」を持った存在です。生贄にするには適していたと考えたのでしょうが、生贄にするより、生きて子供を生んだ方がずっと合理的かつ、結果の出ることだ!と誰かが気づいた。
そこで酒と女性の入れ替えがあったのではないでしょうか。
オロチと天叢雲剣
オロチは川の氾濫の象徴であり、オロチ退治は治水事業を表していると言われています。首と尾が8つにわかれていることも「川」を想像させますし。オロチの上にはいつも雲があるという注釈も「大雨・氾濫・洪水」を連想させます。それに大体、デカイ。胴体が8つの丘と8つの谷ほどあるというのだから、オロチという言葉では物足りないです。自然災害とか天変地異というカテゴリです。
そのオロチの尾が「剣」が出てくるのは、タタラ製鉄で山の木を大量に切った結果、山の保水力が落ちて洪水がおきやすくなったから…という説があります。
わたしはちょっと疑問です。
この説が正しいとなると、古代人は木の根によって山が保水していると「知っていた」ことになります。「知っていた」が極端なら「うすうす感づいていた」ことになります。神と魔が現実に存在すると考えていた古代人にここまでを期待するのは酷ではないか?と。もちろん分かりっこないというわけではなく、経験的に知っていた可能性もありますが。
わたしは「剣」というものが、そもそも単に「鉄器」を象徴しているだけ、だろうと思っています。つまり、鍬(クワ)や鋤(スキ)や鎌(カマ)といった金属製の農機具を漠然と「剣」という名で呼んでいたのではないか??ってことです。
だって草薙の剣って言葉、おかしいと思いませんか??
だからオロチの尾から剣が出て来たことは、出雲で鉄器を生産していたことと関わりはあるでしょう。でも、「武器」としての鉄器ではなく、「農機具」としての川と農業との関わりからではないか?と考えています。
スサノオはクシイナダヒメを櫛に変え、自分の髪に挿します。当時の男性はオシャレだった! とよく言われますが、個人的には「呪具」の意味が強かったのではないかと思います。
酒には神聖な力がある
酒を何度も醸造して、より強いお酒を作り、それをオロチにささげます。これはまず、「酒」がオロチという天変地異を鎮めるほどの力のある「飲料」ですよ、という意味があり、また酒を作ることは天変地異を鎮めるために必要な「神聖な仕事」ですよ、という意味を持ちます。
実際、酒造りは神社の仕事でした。
もうひとつ、生贄として捧げていたクシイナダヒメの代わりに酒を捧げたということは、かつては「人間」を儀式の中で捧げていたものを、「酒」で代用したという意味もあるのでしょう。
人間、特に女性は子供を生むことのできる「特殊な力」を持った存在です。生贄にするには適していたと考えたのでしょうが、生贄にするより、生きて子供を生んだ方がずっと合理的かつ、結果の出ることだ!と誰かが気づいた。
そこで酒と女性の入れ替えがあったのではないでしょうか。
オロチと天叢雲剣
オロチは川の氾濫の象徴であり、オロチ退治は治水事業を表していると言われています。首と尾が8つにわかれていることも「川」を想像させますし。オロチの上にはいつも雲があるという注釈も「大雨・氾濫・洪水」を連想させます。それに大体、デカイ。胴体が8つの丘と8つの谷ほどあるというのだから、オロチという言葉では物足りないです。自然災害とか天変地異というカテゴリです。
そのオロチの尾が「剣」が出てくるのは、タタラ製鉄で山の木を大量に切った結果、山の保水力が落ちて洪水がおきやすくなったから…という説があります。
わたしはちょっと疑問です。
この説が正しいとなると、古代人は木の根によって山が保水していると「知っていた」ことになります。「知っていた」が極端なら「うすうす感づいていた」ことになります。神と魔が現実に存在すると考えていた古代人にここまでを期待するのは酷ではないか?と。もちろん分かりっこないというわけではなく、経験的に知っていた可能性もありますが。
わたしは「剣」というものが、そもそも単に「鉄器」を象徴しているだけ、だろうと思っています。つまり、鍬(クワ)や鋤(スキ)や鎌(カマ)といった金属製の農機具を漠然と「剣」という名で呼んでいたのではないか??ってことです。
だって草薙の剣って言葉、おかしいと思いませんか??
だからオロチの尾から剣が出て来たことは、出雲で鉄器を生産していたことと関わりはあるでしょう。でも、「武器」としての鉄器ではなく、「農機具」としての川と農業との関わりからではないか?と考えています。
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