第八段本文―3出雲の清地で清々しい

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第八段本文―3出雲の清地で清々しい

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原文

然後、行覓將婚之處、遂到出雲之淸地焉。(淸地、此云素鵝。)乃言曰「吾心淸淸之。」此今呼此地曰淸。於彼處建宮。或云「時、武素戔鳴尊歌之曰、夜句茂多兔、伊弩毛夜覇餓岐、兔磨語昧爾、夜覇餓枳都倶盧、贈廼夜覇餓岐廻。」乃相與遘合而生兒大己貴神。因勅之曰「吾兒宮首者、卽脚摩乳・手摩乳也。」故、賜號於二神曰稻田宮主神。已而素戔鳴尊、遂就於根国矣。

現代語訳

第八段本文―3
その後、スサノオはクシイナダヒメと結婚生活を送る場所を探していました。
遂に出雲の清地(スガ)にたどり着きました。
淸地は素鵝(スガ)と読みます。

スサノオは言いました。
「私の心は清々しい」
それでこの土地を「清(スガ)」といいます

この場所に宮殿を立てました。
別書によると……
スサノオは歌いました。
八雲たつ 出雲八重垣 妻ごみに
八重垣作る その八重垣へ

スサノオとクシイナダヒメは結ばれて生まれた子供が大己貴神(オオナムチノカミ)です。

スサノオは命令を下しました。
「私の子(=オオナムチ)の宮殿の首長は脚摩乳(アシナヅチ)・手摩乳(テナヅチ)だ」
それで二柱の神(=アシナヅチテナヅチ)を稻田宮主神(イナダミヤヌシノカミ)と名付けました。

その後、スサノオはついに根の国へと行ってしまいました。
古事記の対応箇所
すがすがしいなぁ
日本最初の歌
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解説

スサノオは死んだ
高天原で罪を犯し、その罪のために根の国へと追放されたスサノオ。まぁ、本文では「母の国へ行きたい」から、根の国へ行くことになっているんですが。

この罪のために根の国へ行く、というストーリー展開ならば、スサノオのオロチ退治は、出掛けの駄賃ということになります。根の国行く途中に、チャチャっと解決した、という程度のことです。スサノオの霊威から考えると、それもおかしくない話です。

そもそも三貴神なんです。アマテラスと同等のエネルギーを持っていて誓約に勝利すらしています。駄々をこねると山が泣き、地が轟いて、魔がはびこるくらいの、強い神様なんです。オロチが8つの丘と8つの谷にまたがるくらいの大きさの怪物だったとしても、大したこと無いんです。

しかし、単に高天原を追い出されて、葦原中国の出雲に落ちて来た、となると、スサノオは出雲で生活するために人助けをして居場所を作ったということになります。そして子孫を残した。まぁ、ストーリー展開上、そういうニュアンスになるって意味です。

個人的コラム

国津神天津神
スサノオは出雲の系譜という言い方をしますが、しかし「国津神」ではありません。スサノオは高天原からやってきた天津神。罪人であろうともです。

その子供たちであるオオクニヌシも事代主神(コトシロヌシ)も国津神に入れられていますが、血統で言えば高天原系のはずです。

でも国津神です。
それはなぜか?

罪人の子供
罪を犯したスサノオ。その子供たちは、「罪人の子」です。穢れているということです。オオナムチことオオクニヌシも、罪人の子孫にあたります。

出雲の連中は穢れた血統!!
と主張するためでしょう。

国譲りには正当な理由が必要でした。

実際には手練手管、汚い手を使って手に入れたのでしょう。でも、そんなことは書けません。また古事記編纂の時代には残ってません。そこで正統な理由づけの一つとして、「罪人の子は支配者にふわさしくない」と主張した。そのためにはスサノオの血統が出雲の系譜となっていないといけない。

それがスサノオがクシイナダヒメとの間に子供をもうけたという物語になったのではないか?と思っています。
かといってスサノオが完全な創造の人物だとも思いませんよ。
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