荒ぶる速須佐之男命は母恋しく

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荒ぶる速須佐之男命は母恋しく

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原文

故、各依さし賜ひし命の随に、知らし看す中に、速須佐之男命、命させし国を治らずて、八拳須心の前に至るまで、啼き伊佐知伎。其の泣く状は、青山は枯山如す泣き枯らし、河海は悉に泣き乾しき。是を以ちて悪ぶる神の音、狭蝿如す皆満ち、万の物の妖悉に発りき。故、伊邪那岐大御神、速須佐之男命に詔りたまひけらく、「何由かも汝は事依させし国を治らずて、哭き伊佐知流。」とのりたまひき。爾に答へ白しけらく、「僕は妣の国根の堅州国に罷らむと欲ふ。故、哭くなり。」とまをしき。爾に伊邪那岐大御神、大く忿怒りて詔りたまひけらく、「然らば汝は此の国に住むべからず。」とのりたまひて、乃ち神夜良比爾夜良比賜ひき。故、其の伊邪那岐大神は、淡海の多賀に坐すなり。
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現代語訳

イザナギが命じたように三貴神はそれぞれの領域を治めていたのですが、速須佐之男命(ハヤスサノオミコト)だけは命じられたようには治めず、顎鬚(アゴヒゲ)が胸に届くほどになっても泣き喚いているばかりでした。

あまりに激しく泣くので、
緑の山が枯れてしまい
河・海の水が干上がってしまうほどです。

そのために、邪神がさわぎはじめ
その声が夏のハエのように辺りに満ちて
悪霊が沸きました。

そこで伊邪那岐大御神イザナギノオオミカミ)が速須佐之男命(ハヤスサノオミコト)に尋ねました。
「なぜ、お前は国を治めずに泣いているのだ?」

するとスサノオ
「亡き母の居る『根の国』へ行きたいのです」
と答えました。

伊邪那岐大御神(イザナギノオオミカミ)は怒り、
「ならば、出て行け」
と言い、すぐにスサノオを追放してしまった。

(ちなみにイザナギは近江の多賀に居た)

第五段一書(一)三貴神の誕生
第五段一書(二)三貴神からワクムスビまで
第五段一書(六)-5三貴神の誕生と統治
第六段本文-1 幽宮を淡路島に作って
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解説

恐ろしい災厄の神スサノオ
三貴神の分割統治」で海を統治するように命じられたスサノオでしたが、母恋しさのあまりに、ただ泣いているばかり。アゴヒゲが伸びるほどの大人になっても、ただ泣くだけ。

スサノオはイザナミから生まれていない
スサノオはイザナギの禊祓い(ミソギハライ)で生まれた神ですから、「母」は居ません。ウルトラ兄弟みたいに血縁関係は無いけど、絆がある――みたいなことかもしれませんけども。
●ただし日本書紀ではイザナギとイザナミから生まれています。
●イザナギが「三貴神の誕生」で、一人で生んでしまったのはイザナミ黄泉の王となってしまったので、その血統とされるのを嫌ったからではないか?と個人的には思いますが…


イザナギの胸中やいかに
離婚した母のことを恋しいと言う息子スサノオ。怒るのも当然。「出て行け」と勘当し、結局、スサノオは根の国へと向かいます。実際にスサノオが根の国に辿り着き、スサノオの子孫であるオオクニヌシに無理難題を吹っかける役割として再登場します。

根の国??
おかしい、イザナミが行ったのは「黄泉の国」だったのに、ここでは根の国になっています。どちらも死者の国であることに違いはありませんが、どうしてこんなことに。
参考:黄泉の国へ
上記ページでも書いているように日本の神話は幾つかの世界観をごちゃ混ぜにして構成しているので、複数の死者の国が存在するわけです。
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