熊野の荒ぶる神は倒される

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熊野の荒ぶる神は倒される

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原文

かれ、その横刀を受け取りたまひし時、その熊野の山の荒ぶる神、自ら皆切り仆さえき。ここにその惑え伏せる御軍悉に寤め起きき。

現代語訳

イワレビコがその刀を受け取ると
熊野の山の荒ぶる神は、自然と切り倒されてしまいました。

そして気を失っていた兵士達も目を覚ましました。

解説

横刀
横刀ってなんでしょ?
この刀は結局高天原から降ろされた「霊剣」であり、フツノミタマ剣であり、降ろしたのはアマテラスに命じられたタケミカズチ。
このフツノミタマ剣は石上神宮の神体。石上神宮には大神神社と同じく本殿がない。本殿の代わりに「禁足地」があります。ここには長いこと「宝」が埋まっているとされていました。そこで明治に掘ってみると勾玉とともに「剣」が出てきました。現在はこれをフツノミタマ剣として石上神宮に祭っています。

その一方、タケミカヅチ鹿島神宮にもフツノミタマとされる大きな剣があります。平安時代から奈良時代にかけて作られたとされます。石上神宮のフツノミタマの制作年代は不明です。

タケミカヅチは藤原氏の祖神とされ、タケミカヅチの古事記での活躍は編纂当時の権力者である藤原氏への配慮だろうというのが一般的な見解です。

もしもタケミカヅチが古事記にゴリゴリに押し込まれたとしたら、その辻褄あわせにフツノミタマ剣が作られた??なんてこともあるかもしれません。

個人的コラム

病気からの回復か?
古代では病気は魔が引き起こすものと考えていて、魔とは日本人にとって神と同義です。となると神武天皇一行が熊野で風土病か何かに感染して倒れたことが、つまり、「オオクマホノカ」に出会ったことになり、それを解決したのが「横刀」だった。

刀は魔を払うという性質があったのでしょう。
刀で神を切るというのは、「治療」の比喩的表現だったのではないでしょうか。
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