草那芸剣と袋を受け取る

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草那芸剣と袋を受け取る

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原文

かれ、命を受けて罷り行でます時、伊勢の大御神宮(オオミカミノミヤ)に参入りて、神の朝廷を拝みて、すなはちその姨(オバ)倭比売命ヤマトヒメミコト)に白したまはく、「天皇既に吾を死ねと思ほすゆゑか、何とかも西の方の悪しき人等を撃ちに遣はして、返り参上り来し間、未だ幾時もあらねば、軍衆(イクサビトラ)を賜はずて、今更に東の方十二道の悪しき人等を平けに遣はすらむ。これによりて思惟へば、なほ吾既に死ねと思ほしめすなり」とまをしたまひて、患へ泣きて罷ります時に、倭比売命ヤマトヒメミコト草那芸剣(クサナギノツルギ)を賜ひ、また御嚢(ミフクロ)を賜ひて、「若し急かなる事あらば、この嚢の口を解きたまへ」とのりたまひき。
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現代語訳

ヤマトタケル景行天皇からの命令を受けて、東国へと向かう途中、伊勢神宮へと参拝しました。

そこで叔母である倭比売命ヤマトヒメ)に言いました。

景行天皇はわたしに死ねと思っているのでしょうか??
どうにか西の悪い人達を撃ち、帰ってきたというのに、間を置かずに兵士もつけずに、また東の悪い人たちを平定に派遣するのでしょうか??
やはり、わたしなど死ねと考えているのではないでしょうか??」

ヤマトタケルが憂い泣いていると、ヤマトヒメは草那芸剣(クサナギノツルギ)と袋をヤマトタケルに渡しました。

「もし、危険になったら、袋を開けなさい」
と言いました。
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解説

伊勢神宮と斎宮
伊勢神宮へとヤマトタケルは参拝。そこで叔母のヤマトヒメからイザナギの剣と袋を受け取ります。
ここには
●伊勢神宮はすごい
●伊勢神宮には斎宮がいる
●伊勢神宮の斎宮のサポートを得て、大事を成す英雄。やっぱり伊勢神宮はすごい。
というニュアンスがある、とされます。

しかし、その一方で景行天皇の薄情さが際立つシーンです。実の息子ヤマトタケルを死ぬように策略をする景行天皇。それを助けようとするヤマトヒメ。

古事記によって天皇の系譜を明らかにし、権力を確固足るものにするという目的からは大きく外れます。こんな冷たい天皇についていきたいですか?? 古事記の成立意図にはそういうものが実際には無かったのか? もしくは、書いているうちにテンションが上がって離れたか。

この伝承があまりに有名であまりいじれないくらいだったのかもしれません。
伊勢神宮に祭られていたのは?
実はこの時点で祀られていた神はアマテラスではない、というのが通説となってきています。なるほど、ここで「伊勢の大御神宮」という曖昧な表現となっているのはそこに理由が。
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