足柄山の白い鹿

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足柄山の白い鹿

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原文

そこより入り幸して、悉(コトゴト)に荒ぶる蝦夷(エミシ)等を言向け、また山河の荒ぶる神等を平和して、還り上り幸しし時、足柄(アシガラ)の坂本(サカモト)に到りて御粮(ミカレヒ)食す処に、その坂の神白き鹿に化りて来立ちき。ここに即ちその咋(ク)ひ遺(ノコ)したまひし蒜(ヒル)の片端(カタハシ)以ちて待ち打ちたまへば、その目に中りてすなはち打ち殺さえき。かれ、その坂に登り立ちて、三たび歎かして「あづまはや」と詔りたまひき。かれ、その国を号けて阿豆麻(アヅマ)と謂ふ。

現代文訳

ヤマトタケルはそこから奥へと進みました。
そこには荒々しい蝦夷がおりましたが、これらをことごとく平定し、山河の神々を平定しました。

そして大和へと帰ろうと足柄峠に着いたときに乾飯(カレイイ【保存用に乾かした飯】)を食べていると、その足柄峠の坂の神が白い鹿に化けて、やってきました。

ヤマトタケルはその食いかけの蒜(ヒル【韮の仲間】)の端切れを投げつけると、目に当たって鹿に化けた神は死んでしまった。

ヤマトタケルはその坂に登り、三度ため息をついて

「あぁ、妻よ」

と言いました。
それで、この辺りを阿豆麻(アヅマ)と呼ぶようになりました。
日本書紀の対応箇所
景行天皇(三十七)信濃の白い鹿を蒜で殺す
景行天皇(三十六)東国の地名説話
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解説

すごい怪力
妻を失ったヤマトタケルですが、その後も蝦夷を打ち倒し平定します。そして、神奈川県と静岡の間の「足柄」に至ります。

この足柄で鹿に化けた神を「蒜」という――植物の切れ端で殺してしまいます。ヒルっていうとピンと来ないですが川べりなんかによく生えています。雑草です。どうやって神を倒したのか??
蒜には匂いがある
ヒルにはニンニクのようなニラのような匂いがあります。この匂いが邪気避けとされていました。だから雑草を投げつけただけで神は死んでしまったのです。

では神とは邪なのか??

まぁ、そういうことです。古代の日本人にとって神と邪は表裏一体。神とは鬼であり、鬼とは神でもあります。人ではない力を持ったものは「神」であり、何をするか分からない「鬼」でもあるのです。
アズマの地名説話は
また地名説話か、と思いますが、今回はなかなかいい話。「あずま」は「我が妻」とか「あぁ妻」が転訛したものというのです。もちろん、この話の成立の方が「アズマ」という言葉の成立より後で、まぁ言ってみれば駄洒落です。
まさかこの地名説話のために、オトタチバナヒメは死んでしまったのではないでしょうね?? 十分あり得るなぁ。
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