トヨクモノ神(豊雲野神)

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トヨクモノ

漢字・読み豊雲野神
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概要

トヨクモノノ神は古事記では「豊雲野神」と書かれ、日本書紀では「豊国主尊(トヨクニヌシ)」と同一とされます。ここでは、「トヨクモノノ神」として、豊雲野神と豊国主尊の全般について書いてあります。古事記の豊雲野神日本書紀の豊国主尊についてはそれぞれのページを見てください。

ちなみに豊国主尊には「豊組野尊(トヨクムノ)・豊香節野尊(トヨカフシノ)・浮経野豊買尊(ウカフノノトヨカヒ)・豊国野尊(トヨクニノ)・葉木国野尊(ハコクニノ)・見野尊(ミノ)」の別名があります。
まとめ
●古事記で1回・日本書紀で1回の登場。
●豊雲野神と同一神とされる豊国主尊には別名が多い。
●別名が多いのは、広い地域に広がって、そこ土地土地で呼び名が変わったり、長い歴史の中で役割が分化したことためと思われる。つまり、歴史は長い。
●雲は豊さを表すものと思われます。
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物語・由来

豊雲野神(トヨクモノ神)は古事記に登場します。雲を表しているとされます。それ以上の情報はありません。日本書紀に登場する「豊国主尊(トヨクニヌシミコト)」と同一と言われています。
雲を祀る意味
「トヨ」「クモ」で豊かな雲という意味です。雲は雨をもたらします。雲は農業にとって大事な存在です。もちろん太陽を隠すこともあるのだから、怖い存在でもあるかもしれません。でも、日本人は怖いものこそしっかりと祀るものです。
また飯炊きをすれば煙が立ちます。これを雲としたととも言われます。また鉄製品をつくるタタラでは大量の木を燃やします。タタラの産地を表していたとも言われます。出雲がタタラの産地であるのもこのためとも。
別名の多さ
豊国主尊と同一神とされ、その多様な別名も同一神とされます。これは豊雲野神の歴史が長く、その長い歴史の中で役割が分化したり、地域に広がって、その土地土地で呼び名が変わったりした証拠です。
九州の豊国
九州には豊国という行政区画がありました。現在の福岡県と大分の一部がこれにあたります。豊前・豊後というのは豊国を分けてできた名前です。豊国という地域の名前がこの豊国主尊と関係している、という文書はありません。豊国の語源は
国産み
次は筑紫島(ツクシシマ=九州)を生みました。
この島も体が一つで顔が四つあります。
それぞれの顔に名前があります。
筑紫の国を白日別(シラヒワケ)といいます。
豊の国を豊日別(トヨヒワケ)といいます。
肥の国を建日向日豊久士比泥別(タケヒムカヒトヨクジヒネワケ)といいます。
熊曾の国を建日別(タケヒワケ)といいます。

にあるように「豊日別」という神の名前から来ているのですから、豊国主(トヨクニヌシ=トヨクモノ)とは関係ないでしょう。ただし、「豊国」が繁栄した国という意味であるのは間違いなく、直接は関係なくても、思想・文化が共通した名残のようなものかもしれません。
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引用

神世七代
次に産まれたのは、国之常立神(クニノトコタチノカミ)、次は豊雲野神(トヨクモノノカミ)です。
この二柱も、独神で、対となる神はいませんし子供も居ませんでした。また、姿形もありませんでした。

第一段一書(一)天地が分かれて、その虚空に
次に豊国主尊(トヨクニヌシ)です。
別名を豊組野尊(トヨクムノ)です。
またの別名を豊香節野尊(トヨカフシノ)です。
またの別名を浮経野豊買尊(ウカフノノトヨカヒ)です。
またの別名を豊国野尊(トヨクニノ)です。
またの別名を葉木国野尊(ハコクニノ)です。
またの別名を見野尊(ミノ)です。

個人的コラム

トヨクニヌシについて
トヨクニヌシとトヨクモノ神は「同一」とされます。それは記紀で登場したタイミングが一緒だからです。もしかすると別の神かもしれない、とも思うのですが、一緒ではないか?とも思います。

豊国主は名前から言うと「オオクニヌシ」と名前の構成が同じです。「トヨ」も「オオ」も英語で言う所の「very」や「great」のようなものです。そしてオオクニヌシと言えば「出雲」です。出雲には「雲」があります。

雲と「豊かな国」は「同義」だったのでしょう。人が住み、そこで飯炊きをすれば煙が上ります。それが「雲」と「豊かな国」を結びつけるものだったのでは? または鉄の精製をすると大量の木を燃やします。それで昇る煙を雲と見たのかもしれません。
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