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ヒナガヒメとホムチワケ御子
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ここにその御子、一宿 肥長比売(ヒナガヒメ)に婚ひしたまひき。かれ、その美人を窃かに伺ひたまへば蛇なりき。即ち見畏みて遁逃げたまひき。ここにその肥長比売 患へて、海原を光らして船より追ひ来。かれ、益 見畏みて、山のたわより御船を引き越して、逃げ上り行でましき。ここに覆奏(カヘリゴト)言さく、「大神を拝みたまひしによりて、大御子 物詔りたまひき。かれ、参上り来つ」とまをしき。かれ、天皇歓喜びたまひて、即ち菟上王(ウナカミノミコ)を返して神宮を造らしめたまひき。ここに天皇、その御子によりて、鳥取部(トトリベ)・鳥甘部(トリカヒベ)・品遅部(ホムヂベ)・大湯坐(オホユエ)・若湯坐(ワカユエ)を定めたまひき。
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現代文訳
ホムチワケ御子は、肥長比売(ヒナガヒメ)と一夜を共にしました。
しかし、姫を覗いて見ると、蛇でした。
すぐに恐ろしくなって、逃げ出しました。するとヒナガヒメは悲しんで、海を照らして船で追いかけて来たのです。ますます恐ろしくなって山の凹んだところを船で越えて、やっとこさ、大和へ逃げ帰りました。
ホムチワケ御子に同行したアケタツ王とウナカミ王は天皇に報告しました。
「大神(=オオクニヌシ)に参拝したことで、ホムチワケ御子は話せるようになりました。それで帰ってきました」
垂仁天皇は喜び、すぐにウナカミ王を出雲に向かわせて、神宮を作りました。また垂仁天皇はホムチワケ御子にちなんで、鳥取部(トトリベ)・鳥甘部(トリカヒベ)・品遅部(ホムヂベ)・大湯坐(オホユエ)・若湯坐(ワカユエ)を定めました。
しかし、姫を覗いて見ると、蛇でした。
すぐに恐ろしくなって、逃げ出しました。するとヒナガヒメは悲しんで、海を照らして船で追いかけて来たのです。ますます恐ろしくなって山の凹んだところを船で越えて、やっとこさ、大和へ逃げ帰りました。
ホムチワケ御子に同行したアケタツ王とウナカミ王は天皇に報告しました。
「大神(=オオクニヌシ)に参拝したことで、ホムチワケ御子は話せるようになりました。それで帰ってきました」
垂仁天皇は喜び、すぐにウナカミ王を出雲に向かわせて、神宮を作りました。また垂仁天皇はホムチワケ御子にちなんで、鳥取部(トトリベ)・鳥甘部(トリカヒベ)・品遅部(ホムヂベ)・大湯坐(オホユエ)・若湯坐(ワカユエ)を定めました。
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解説
肥長比売(ヒナガヒメ)
言葉が話せるようになると急に性欲が増すのか。急に嫁を取ろうとします。ヒナガヒメは肥河の精霊で蛇の化身かつ雷神(海を照らすことから)でもあると思われます。この精霊との婚礼によってホムチワケ御子の「神性」を高めようとしたのかもしれません。
ホムチワケ御子は応神天皇の「ホンダワケ」に似ていることから同一人物ではないか?との説があるのです。確かにホムチワケ御子はこの後の系譜も無いというのにかなり紙面を割いている、つまり優遇されています。何か秘密があるのかもしれません。
またしても強い女
女の正体を見て、怒られたり、失礼を働いて怒られるというパターンはイザナミ、コノハナサクヤヒメ、トヨタマヒメとあります。今回はホムチワケ御子という天皇の子であり、なおかつ、出雲を参拝して言葉を取り戻したばかり。せっかくこれから前向きに生きていこうかというときに、こんなことになるんでしょうか。
ヒナガヒメの話はあまりに前後と脈絡が無いので、後がぶっこんだ話と考えたほうがいいでしょうね。
三輪山説話に入る?
男女逆ですが蛇神で似た話にヤマトトトヒモモソヒメのオオモノヌシとの三輪山説話もこの話に似て居ます。そういう意味では祟神天皇の「オオタタネコの出自」あたりの話も同じです。
言葉が話せるようになると急に性欲が増すのか。急に嫁を取ろうとします。ヒナガヒメは肥河の精霊で蛇の化身かつ雷神(海を照らすことから)でもあると思われます。この精霊との婚礼によってホムチワケ御子の「神性」を高めようとしたのかもしれません。
ホムチワケ御子は応神天皇の「ホンダワケ」に似ていることから同一人物ではないか?との説があるのです。確かにホムチワケ御子はこの後の系譜も無いというのにかなり紙面を割いている、つまり優遇されています。何か秘密があるのかもしれません。
またしても強い女
女の正体を見て、怒られたり、失礼を働いて怒られるというパターンはイザナミ、コノハナサクヤヒメ、トヨタマヒメとあります。今回はホムチワケ御子という天皇の子であり、なおかつ、出雲を参拝して言葉を取り戻したばかり。せっかくこれから前向きに生きていこうかというときに、こんなことになるんでしょうか。
ヒナガヒメの話はあまりに前後と脈絡が無いので、後がぶっこんだ話と考えたほうがいいでしょうね。
三輪山説話に入る?
男女逆ですが蛇神で似た話にヤマトトトヒモモソヒメのオオモノヌシとの三輪山説話もこの話に似て居ます。そういう意味では祟神天皇の「オオタタネコの出自」あたりの話も同じです。
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