「飛鳥」を「アスカ」と読む理由

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「飛鳥」を「アスカ」と読む理由

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概要

まとめ
●「アスカ」は「清らかな山」という意味では?
●古代の日本人は、穀物神が鳥に乗って山から里の田畑に降りてくると考えていた。
●飛鳥を「アスカ」と読むのは「清らかな山から穀物神が鳥に乗って里の田畑にやってくる(から、この土地はよく実って豊だ!)」という意味

前提となる世界観から

飛鳥と書いて「アスカ」と読むのですが、これが何故なのか?というのが古代史の議論ではよく語られます。そこで個人的な意見を。

説明する前に日本の世界観を簡単に
日本では春に穀物神が山から田畑に舞い降りてきて、植物を育てます。その植物が秋に実り、収穫を終えると、力を使い果たした穀物神はまた山に帰って行きます。これを繰り返すのが「一年」です。

それで、日本人は出来るだけ良い穀物神を田畑に呼び寄せたいと考えていました。その良い穀物神とは、どういう神でしょうか? 力があり、豊作になるような神です。それだけではありません。「清らか」であることも大事です。

春に苗を植え、それが生育する途中に「梅雨」があります。梅雨は古代では恐ろしいものでした。長雨が続けば日照不足で植物の生育を悪くしてしまいます。何より、梅雨以降の日本は特に湿度が高い。湿度が高いと、生ものが腐ります。すると食中毒が起きます。この食中毒を起こすもの「腐食」が穢れ(ケガレ)という感覚です。
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アスカは「清らかな山」という意味では?

清らかさ
この穢れに対抗するのは「清らかさ」です。
「神聖」でも「聖なる」でもいいです。
とにかく、穢れに反駁する「清らかさ」も、良い穀物神の条件でした。

それが「スカ」という音の意味です。
スカはスサノオが出雲の清(スガ)で言った「清々しい」のスガです。
参考:すがすがしいなぁ 第八段本文―3出雲の清地で清々しい
アスは山ではないか??
そして「アス」は、浅間山(アサマヤマ)や阿蘇山(アソザン)の「アサ」と同じものです。
●ただし、浅間山と阿蘇山の「アサ」は「火山」という意味です。「アス」と「アサ」は山繋がりでも別の意味かもしれませんし、同じ意味かもしれません。関係ないかも。でも「山」を表していたと思います。
●「ア」「スカ」でアは接頭語で深い意味は無いというのも、定説の一つです。


それで「アス」+「スカ」が詰まってアスカです。

では、なぜアスカを「飛鳥」と表記したのか??
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山から神がやってくる

山から穀物神が里の田畑に降りるときに、
穀物神はどうやって田畑に降りるか?
と考えると答えは出てきます。

多くの場合は、穀物神がそのままの姿で、山を歩いて降りたのでしょう。その道案内をした神の代表が「猿田彦」といった道祖神です。
●だから猿田彦はニニギが降臨するときに先導したわけです。
ニニギは穀物神です。なにせ天照から稲穂を渡されています。
●またニニギは穀物神だからこそ、「日向の高千穂の峰」に降ります。穀物神は山に居るのが当たり前だからです。


でも歩いて山を降りないケースもあります。
どうやって降りるか?
ビューーンと飛んで降ります。
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穀物神は鳥に乗って山から里へ

アジスキタカヒコネが友達のアメノワカヒコの葬儀に行って、アメノワカヒコと間違われたときに、空を飛んで去っています(その葬儀を取り仕切ったのは鳥:「アメノワカヒコの葬式」)。またヤマトタケルは死後に白鳥となり、飛んで行きます。この白鳥は魂を表していますが、同時に白鳥が穀物神を表しているとも言われています。

この二つの物語は「死者」の話だから穀物は関係ない、ような気がしますが、古代の日本人は死者の国は神の国だと考えていたので、問題ありません。
●天鳥船(アメノトリフネ)や天鳩船(アメノハトフネ)といった神の乗る「船」の名前に「鳥」が入るのはそのためではないでしょうか?
●ただし天鳥船(アメノトリフネ)はタケミカヅチが国譲りを迫るときに登場。天鳩船(アメノハトフネ)は国譲りのときに事代主(コトシロヌシ)に意見を聞くために派遣している。一見すると穀物と関係ない。
●しかしタケミカヅチは本来は雷神であり、穀物神。また天鳩船(アメノハトフネ)が乗せた神の名は稲背脛(イナセハギノミコト)とこちらも穀物神と考えて差し支えない。


つまりある地方では穀物神は鳥の姿で山から降りて来ると考えていたのです。

だから「アスカ」の当て字は「飛鳥」なのだと、わたしは考えています。
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だから「飛鳥」で「アスカ」

飛鳥であり、アスカであるということは
「清らかな山から飛んでくる鳥の姿をした頼りになる穀物神がいるから、この土地は豊かに実る。(どーだ! いいだろー!!)」
そういうニュアンスなのでしょう。

それはつまり「大和(ヤマト)」が元々は「山門」で、山に囲まれている地形を表し、深い意味を持っていない、のと同様に、「アスカ」という名前は(本来は)特定の土地を指していない、ということになります。
また飛鳥という名前と漢字は「穀物神が鳥の姿で降りてくる」という「信仰」があった地域だからこそ、成立します。アスカだけなら何処でも名付けられたでしょう。でも「飛鳥」という漢字が当てられたのは、「信仰」があったからです。
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