イザナミは既に…

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イザナミは既に…

漢字・読みイザナミハスデニ
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原文

如此白して其の殿の内に還り入りし間、甚久しくて待ち難たまひき。故、左の御美豆良に刺せる湯津津間櫛の男柱一箇取り闕きて、一つ火燭して入り見たまひし時、宇士多加礼許呂呂岐弖、頭には大雷居り、胸には火雷居り、腹には黒雷居り、陰には拆雷居り、左の手には若雷居り、右の手には土雷居り、左の足には鳴雷居り、右の足には伏雷居り、并せて八はしらの雷神成り居りき。

現代語訳

こう言ってイザナミは御殿の中に帰った。
ところがいつまで待ってもイザナミが帰ってこないので、イザナギは耐えられなくなって、角髪(ミズラ=髪をまとめて耳あたりでまとめた束のこと)に挿していた櫛の太い歯を一本折り取って、火をともして、内部に入って見ました。

するとイザナミの身体には蛆がたかり
頭には大雷(オオイカヅチ)がいました。
胸には火雷(ホノイカヅチ)がいました。
腹には黒雷(クロイカヅチ)がいました。
女性器には拆雷(サクイカヅチ)がいました。
左手には若雷(ワカイカヅチ)がいました。
右手には土雷(ツチイカヅチ)がいました。
左足には鳴雷(ナルイカヅチ)がいました。
右足には伏雷(フシイカヅチ)がいました。

合わせて8柱の雷神が成っていました。
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解説

イザナミはすでに身体に蛆が沸いていて、雷神が絡みつく、異形の姿になっていました。いくら愛する妻でも、これは愛せない。世界を作った神でも「死」というこの世界のルールは曲げられないらしいです。日本の神様はどこか人間臭い。そこが魅力です。

神が発生
いろいろと名前がありますが、意味はほとんどないのではないかと思われます。ここで大事なのは雷神は死に関わる神ということです。
でも雷の後には雨が降るように、雷神は水神であり、豊穣をもたらす神様とされるはずです。ちょっと矛盾。実は雷は「祟り」をもたらす神であり、恐ろしい神の側面もあるのです。

個人的コラム

イカヅチには別の意味があったのでは?
カグツチノヅチ神、シオツチ神、クニサツチというようにツチと付く神の名前はいくつもあります。

オオナムチの「チ」は霊威を表しているとされるので、「ツチ」で霊的な力を持つ何かを指しているのではないかな、と考えています。
おそらく土
ツチは「土」でしょう。地面のことです。
土は農業でとても大事なものです。無いとダメとかそういう理由ではなく、「野菜作りは土づくりから」というように土は収量・品質に大きく関わります。土が適していないと収穫すらままならないものです。

カグツチは火の神ですが焼畑農法を表している!!!だから農業神だ!!とまでは断定しませんが、畑を焼くことで土壌改良をするというのは現在でもあります(灰を撒くなども)。それに古事記でも日本書紀でもカグツチをきっかけに生まれた神々の多くが農業関係です。
●日本の神はほとんど農業関係なので、そう見えるだけかもしれないけど。

雷神がここでイザナミの体にまとわりついていた理由は、死後は死体を「土の下に埋める」からではないか?と思います。つまり「ツチ」のダジャレから「イカヅチ」が採用されたのではないか?という推測です。もしくはイカヅチというものが、天から大地へと移動するイメージから付けられた名前ではないか?と。
●雷とは「神・鳴り」です。夏の終わりに雷が鳴ることで、稲が結実すると日本人は考えました。雷が鳴ることで稲が妊娠するのです。つまり、「稲は妻」です。そこで雷の別名が「稲妻(イナヅマ)」となりました。
●イカヅチという名称は天から大地にエネルギーが供給されるイメージからではないか?と考えています。土の肥料を消費して野菜が作られる!とは古代人は考えなかったでしょうが、土のエネルギーを消費して収穫しているという漠然としたイメージは持っていたはずです。肥そのエネルギーを消費して収穫が鈍くなると畑を移動します。ではいつ、このエネルギーが供給されると古代の日本人は考えたか?? それがイカヅチ(神鳴り)のとき、だった、という推測です。この考えはおそらく水耕稲作が広がると衰退したはずです。水耕稲作では連作障害が起きないからです。
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