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エウカシ
漢字・読み | 兄宇迦斯・兄猾 |
概要
古事記では兄宇迦斯(エウカシ)。
日本書紀では兄猾(エウカシ)。
神武天皇が東征をしたその途中の土地、宇陀・菟田(ウダ)で出会った「人」。兄宇迦斯(エウカシ)・弟宇迦斯(オトウカシ)で兄弟。弟の方は神武天皇にすぐ恭順し、反抗する兄の計画を密告したために、兄は死んでしまう。
日本神話では基本的に兄弟は、兄が死に、弟は生き残り勝者となる。
エは「兄」のこと。ウカシはハッキリとは分からないが、古事記の「吉野国巣の祖先」に「宇陀の穿ち(ウダノウガチ)」という言葉が見られる。「ウガチ」…「ウガツ」…で「分ける」という意味です。兄弟が袂を分けたことが、神話としてあったのではないかと私は思います。日本神話には兄弟が喧嘩するシーンがあります。例えば、アマテラスとツキヨミが仲違いすることで昼夜が生まれています。アマテラスとスサノオの仲違いは高天原の神話の中心です。オオクニヌシと八十神の喧嘩もそうです。山幸彦・海幸彦も兄弟喧嘩がメインテーマです。
日本書紀では兄猾(エウカシ)。
神武天皇が東征をしたその途中の土地、宇陀・菟田(ウダ)で出会った「人」。兄宇迦斯(エウカシ)・弟宇迦斯(オトウカシ)で兄弟。弟の方は神武天皇にすぐ恭順し、反抗する兄の計画を密告したために、兄は死んでしまう。
日本神話では基本的に兄弟は、兄が死に、弟は生き残り勝者となる。
エは「兄」のこと。ウカシはハッキリとは分からないが、古事記の「吉野国巣の祖先」に「宇陀の穿ち(ウダノウガチ)」という言葉が見られる。「ウガチ」…「ウガツ」…で「分ける」という意味です。兄弟が袂を分けたことが、神話としてあったのではないかと私は思います。日本神話には兄弟が喧嘩するシーンがあります。例えば、アマテラスとツキヨミが仲違いすることで昼夜が生まれています。アマテラスとスサノオの仲違いは高天原の神話の中心です。オオクニヌシと八十神の喧嘩もそうです。山幸彦・海幸彦も兄弟喧嘩がメインテーマです。
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物語の経緯
神武天皇が宇陀に到着するとエウカシ・オトウカシの兄弟にヤタガラスを差し向けて恭順するかどうかを尋ねます。するとエウカシは鳴鏑という矢を放って、追い返してしまいます。鳴鏑はピューと鳴る矢じりで、これは戦争前に放つとされるので、「徹底抗戦」の意図があったとされます。
エウカシは神武天皇を迎え撃つために兵士を集めるのですが、うまく集まりません。そこで御殿を建てて、そこに罠を仕掛け、神武天皇を歓迎するを見せかけて暗殺しようとしますが、その企みを弟に密告され、最後は、自分が仕掛けた罠に嵌って死んでしまいます。
●ただし、鳴鏑=戦争とは限らない。そもそもは狩猟の際に獲物を追い立てるためと思われる。鳴鏑は平家物語の時代に合戦開始の合図で利用されていたが、古事記の時代とはかなりの乖離がある。同じと考えるのは問題があるかもしれない。
●鳴鏑は出雲神話の中でスサノオがオオナムチに鳴鏑を鳴らして取って来いと命じ、野原に火を放つシーンがあります(「鳴鏑とネズミ」)。これは野焼きの神話化でしょう。鳴鏑は野焼きという農業儀式と関わっていた。鳴鏑が必ずしも戦争と関係しているとは限らない。
●鳴鏑は出雲神話の中でスサノオがオオナムチに鳴鏑を鳴らして取って来いと命じ、野原に火を放つシーンがあります(「鳴鏑とネズミ」)。これは野焼きの神話化でしょう。鳴鏑は野焼きという農業儀式と関わっていた。鳴鏑が必ずしも戦争と関係しているとは限らない。
エウカシは神武天皇を迎え撃つために兵士を集めるのですが、うまく集まりません。そこで御殿を建てて、そこに罠を仕掛け、神武天皇を歓迎するを見せかけて暗殺しようとしますが、その企みを弟に密告され、最後は、自分が仕掛けた罠に嵌って死んでしまいます。
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古事記からの引用
兄宇迦斯・弟宇迦斯
訶夫羅前
エウカシの罠と謀略と密告
道臣命と大久米命
訶夫羅前
兄宇迦斯(エウカシ)は鳴鏑(ナリカブラ)の矢でその使いを待ち伏せして射ち、追い返してしまいました。その鳴鏑が落ちた土地を訶夫羅前(カブラサキ)といいます。
エウカシの罠と謀略と密告
そのとき、弟宇迦斯(オトウカシ)がイワレビコのところに来て言いました。
「私の兄である兄宇迦斯(エウカシ)は天津神の皇子の使いであるヤタガラスを撃って返し、待ち伏せして皇子を攻めようと、兵を集めたのですが、うまく集まりませんでした。そこで御殿を作って、押機(=罠の一種)を張り、待っています。
それで、こうして皇子の前に参上して、すっかり説明しているのです」
「私の兄である兄宇迦斯(エウカシ)は天津神の皇子の使いであるヤタガラスを撃って返し、待ち伏せして皇子を攻めようと、兵を集めたのですが、うまく集まりませんでした。そこで御殿を作って、押機(=罠の一種)を張り、待っています。
それで、こうして皇子の前に参上して、すっかり説明しているのです」
道臣命と大久米命
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日本書紀からの引用
秋八月甲午朔乙未(一)兄猾と弟猾
秋八月の二日。
天皇は兄猾(エウカシ)と弟猾(オトウカシ)を呼び寄せました。
…
ところが兄猾(エウカシ)は現れませんでした。
弟猾(オトウカシ)だけがすぐにやって来ました。
そして軍門(=軍の入り口)で拝んで言いました。
「わたくしめの兄の兄猾(エウカシ)は逆(サカシマナルワザ=反逆の心)を持っています。
天孫がこの土地に来ると聞いて、すぐに兵を集めて襲おうとしていました。
…
道臣命(ミチノオミノミコト)は兄猾(エウカシ)に敵対する心があることを確信して、とても怒り、兄猾(エウカシ)に叫びました。
「野郎!!
お前が作った小屋に、お前自らが入ってみろ!」
兄猾(エウカシ)は自分から小屋で罠を踏んで、死んでしまいました。そのときに死体を引っ張り出して斬ったところ、血が流れ出、踝(ツブナギ=くるぶしのこと)まで浸かるほどだった。それで、この土地を菟田血原(ウダノチハラ)と言います。
天皇は兄猾(エウカシ)と弟猾(オトウカシ)を呼び寄せました。
…
ところが兄猾(エウカシ)は現れませんでした。
弟猾(オトウカシ)だけがすぐにやって来ました。
そして軍門(=軍の入り口)で拝んで言いました。
「わたくしめの兄の兄猾(エウカシ)は逆(サカシマナルワザ=反逆の心)を持っています。
天孫がこの土地に来ると聞いて、すぐに兵を集めて襲おうとしていました。
…
道臣命(ミチノオミノミコト)は兄猾(エウカシ)に敵対する心があることを確信して、とても怒り、兄猾(エウカシ)に叫びました。
「野郎!!
お前が作った小屋に、お前自らが入ってみろ!」
兄猾(エウカシ)は自分から小屋で罠を踏んで、死んでしまいました。そのときに死体を引っ張り出して斬ったところ、血が流れ出、踝(ツブナギ=くるぶしのこと)まで浸かるほどだった。それで、この土地を菟田血原(ウダノチハラ)と言います。
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