古語拾遺14 彦火尊と彦瀲尊

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古語拾遺14 彦火尊と彦瀲尊

投稿日時:2019-02-08 13:08:30
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原文

天祖彦火尊 娉海神之女豊玉姫命 生 彦瀲尊 誕育之日 海濱立室 干時 掃守連遠祖天忍人命 供奉陪侍 作箒掃蟹 仍 掌鋪設 遂以爲職 號曰蟹守 【今俗謂之借守者 彼詞之轉也】

現代語訳

天祖(アマツミオヤ=天の先祖)の彦火尊(ヒコホノミコト)は海神(ワタツミ)の娘の豊玉姫命(トヨタマヒメミコト)を娶り、彦瀲尊(ヒコナギサノミコト)を産みました。誕生するときに、海浜に小屋を建てました。その時に、掃守連(カニモリノムラジ)の遠い先祖の天忍人命(アメノオシヒトノミコト)が仕えておりました。箒を作って、蟹をはらいました。それで敷物を司るようになり、職(ツカサ)となりました。それで名付けて「蟹守」と言います。
現在の世では借守(カリモリ)というのは、この言葉が転訛したものです。

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解説

彦火尊
彦火尊は古事記・日本書紀での「山佐知毘古(ヤマサチヒコ)・山幸彦」のことだと思われる。日本書紀には天照国照彦火明命(アマテルクニテルヒコホノアカリノイコト)と木花開耶姫命(コノハナサクヤヒメノミコト)の間に生まれた子供の次男として「彦火火出見尊」が見られるので、まぁ、コレだと思う。ただ、「彦」「火」という言葉はニニギの別名や、神武天皇の別名にも見られることから、太陽神を祀る名前としては一般的だったのではないかと思われる(主に九州神話で)。
彦瀲尊
天津日高日子波限建鵜葺草葺不合命(=ウガヤフキアエズ)のこと。「鵜の羽で屋根を葺いている途中で生まれた」という意味の「ウガヤフキアエズ」という名前の方が重要かと思ったら、古語拾遺では「彦・渚」の方が大事だという認識なのか。山の神である山幸彦と海の神の娘の豊玉姫の間に生まれたのが「渚」という方が確かにスッキリする。
掃守連
新撰姓氏録によると雄略天皇の時代に宮廷内の掃除をしていたことから氏姓をもらったとある。それにしても蟹か。蟹は屍肉に集まる「腐食動物」で、蟹を払うのは穢れを忌避する作業だったとも思われる。この神話が元になって宮廷の掃除をするようになったのだろう。つまり、掃除といっても宗教儀式。
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